「好きだよ、おチビ」


英二と付き合う前まで、【好き】なんて言葉は正直嫌いだった。

表面上そんなコト言ってても、腹の中じゃ何考えてるか分かんないし。


「名前じゃないとヤダ?じゃあ…リョーマvvv」


普段幼く見えるくせに、やっぱり俺より年上で、余裕のある英二。

英二の行動一つ一つに…俺がどれだけ一喜一憂してるか知らないでしょ?





>>俺のライバルは大五郎?





「おチビちゃん♪おっはよvvv」


朝っぱらから抱きつかれても、嫌な感じはしない。

大体この人、気配隠したりするの下手だからさ。あぁ…来るな、って時が解るんだよね。

わざとそうしてるのか、ただの天然か。


「俺ね、おチビちゃんの夢見ちゃったんだぁ♪」

「ふぅん…」


素っ気無いふりしてるけど、ほんとは凄く嬉しいんだよ。あんたは気付いてるのかな。

…まさかね。


「ふぅん…って!もうちょっと、どんな?とか、何考えて寝てんだよ。ぐらいつっこんでよ〜」

「ハイハイ。じゃあ…変態」

「う…言われたら言われたで嫌だな…」

「我侭」

「うぅ…;と、とにかく夢におチビが出てきたの!とっても可愛かったんだよ♪」


英二が俺を褒める時、絶対【可愛い】って言う。

可愛い顔をしてるとは思わないし、性格だって全然だ。英二の感覚を時々疑いたくなる。

…でも嬉しそうににこにこしてるから、あえて言わないけど。


「…何が可愛かったんすか?」

「えっとね、おチビと大五郎が仲良く寄り添って昼寝してる夢!」


また出た…、【大五郎】。英二の部屋に置いてある、大きな熊のぬいぐるみの名前。

英二の会話の中に、多分10回に1回ぐらいは出てくる名詞。

どうでもいいけど…俺って英二の夢の中でまで寝てるんだ…。


「ふぅん…で、寝てる俺に悪戯したりしなかった?」

「にゃ!?………ま、まさかぁ〜♪」

「…したんだ」


俺が呆れたように言うと、にやけた表情のまま「ごめ〜ん」と謝ってくる英二。

…今度から、英二の前で無防備に寝るのは止めよう。


「だってとっても可愛かったんだよ?おチビがこう…大五郎の首にキュッと抱きついた感じで…」

「へぇ」

「大五郎の手はこう、リョーマの背中を抱く形になっててさ」

「……」

「大五郎とリョーマ…こういうのを微笑ましいって言うのかにゃ〜♪」

「英二は、俺よりも大五郎が可愛いんでしょ…?」


自分でも、冷静な声が出たなって思った。

案の定固まってしまった英二を尻目に、俺はスタスタと歩き出す。


「まだまだだね…」

「…ちょ、ちょいたんま!おチビ、待って!!」


急に腕をガシッと掴まれ、俺はバランスを崩しそうになる。

何とか踏みとどまると、文句を言おうと後ろを振り返った。


「何すんすか!危ないでしょ!」

「あ、ごめんごめん」


英二はパッと掴んでいた手を離すと、舌を出して微笑んだ。

…まったく。その顔すれば、俺が許すと思ってんだから…


「おチビさ、勘違いしないで?大五郎とおチビの可愛さは別物なんだからvvv」

「…どんな風に?」

「え、どんな風にって〜…、ん〜…」

「答えられないんすか」


俺が苛立って言うと、英二は本当に困ったような顔をした。


「だって、そんなの…おチビ解っててくれてると思ってたし…」

「そんなの解るわけないでしょ!大五郎、大五郎ってさ…」


俺が視線を伏せると、英二はにこにこしながら俺の顔を覗き込んできた。


「おチビぃ…、もしかして大五郎にヤキモチ焼いちゃった??」

「なっ…!」

「おチビかわい〜いvv」


ぎゅーっと抱きしめられ、俺は慌てて叫んだ。


「痛いよ、英二!」

「ごめん…でも嬉しくって」

「勝手に喜ばれても困るんすけど」

「だっておチビがさぁ…大五郎にヤキモチなんて…」


喋りながら、思い出し笑いのように噴出す英二。

…言わなきゃ良かった。


「…おチビ、俺はおチビだけ好きだからね」

「それは…解ってるよ…」

「良かったvv」


にこっと笑ったかと思うと、次の瞬間英二の顔は目の前にあった。

唇に、温かい感触。


「英二…!ここ、外…!!」

「だーいじょーぶい!ちゃんと誰も居ないの確認したもんね♪」


英二はいつもの笑顔に少し頬を染めると、俺の手を取った。


「手、繋いで登校しよっか」

「…まぁ、今日だけね」

「よし、しゅっぱーつ!」


俺の手を握ってブンブンと振り回す英二。

…まぁ、たまにはこんな日もありかな?






キリ番10000HITのリクエストで御座います…。こんなに遅くなってしまって御免なさい;;
自分でも呆れてしまってますが。(ぉぃ)
【甘々 可愛い話】とのリクエストだったはずが、こんなヘボい話に…;
一体小説書くようになってどれぐらい経ったんだよ、私。って感じです;;
癒唯無様、こんなので宜しかったら貰ってやって下さい…;リクエスト有難う御座いました。。